2018年3月6日火曜日

AKG(アーカーゲー)のイヤホンN30を買ったのでレビュー評価してみます。AKG N40とも比べてみました。

AKG N30 カナル型イヤホン ハイレゾ対応
2WAY(ダイナミック/BA)ハイブリッド型
ケーブル着脱式 ブラック AKGN30BLK
汎用的なオーディオ機器(φ3.5mmミニプラグ)で良い音を聴くためのイヤホンを検討!最初は1万円程度のイヤホンを買おうかと思ったのですが、どうせなら現在所有しているお気に入りのAKG N40の下位モデルであるN30を購入することにしました。N40との価格差は1万円「同じドライバー構造で音の差はあるのか?」興味の沸く所です。

下記に簡単なスペックを書き出しました。ドライバーユニットは同じらしいです。
主な違いは(周波数特性・感度・インピータンス)のチューニングの様です。
N40はワイドレンジ・高音圧感度・高インピータンスです。N30はN40に比べると低音域のレンジが狭く、低音圧感度で低インピータンスと言うことになります。また、本体重量や厚みにも差があります。

比較評価にあたり、N30はケーブルの制約があり、N40と同じφ4.4mmバランスケーブルを使っての比較ができません。なので、今回は厳密な比較にはなっていませんのでご了承ください。

製品名 N30 N40
タイプ 密閉2WAYハイブリッド型(カナル) 密閉2WAYハイブリッド型(カナル)
カラー マットブラック クローム
ユニット (中高域用)バランスド・アーマチュア・ドライバー×1
(低域用)8mm径ダイナミック・ドライバー×1
(中高域用)バランスド・アーマチュア・ドライバー×1
(低域用)8mm径ダイナミック・ドライバー×1
周波数特性 20Hz ~ 40kHz 10Hz ~ 40kHz
感度 86dB/mW 109dB/mW
インピーダンス 32Ω 20Ω
入力プラグ φ3.5mmミニプラグ(ストレート型) φ3.5mmミニプラグ(ストレート型)
ケーブル長 着脱式(MMCX:直径約4.5㎜)/1.2m 着脱式(MMCX:直径約65㎜)/1.2m
重量(ケーブル含まず) 19.5g 22g
≪付属品≫ ヘッドホンケーブル(4極プラグ対応スマートホン用マイク付ユニバーサル3ボタンリモコン搭載)、
メカニカル・チューニング・フィルター(REFERENCE※装着済み/BASS BOOST)、
イヤチップ(XS/S/M/L)※Mサイズ装着済み、
フライトアダプタ、専用キャリングケース、クリーニングツール
イヤホンケーブル2種(ストレートタイプ・4極プラグ対応スマートホン用マイク付3ボタンリモコン搭載ケーブル)、メカニカル・チューニング・フィルター(HIGH BOOST、REFERENCE、BASS BOOST)※ REFERENCE装着済、イヤチップ(XS/S/M/L) ※Mサイズ装着済、専用キャリングケース、フライトアダプタ、クリーニングツール
価格 HARMAN公式通販価格¥29,880(税抜) HARMAN公式通販価格¥39,880(税抜)



AKG N30 イヤホン









イヤーチップの交換とリケーブル
イヤーチップはいつものコンプライTsx500に交換、ケーブルはAKG純正の3.5㎜高純度6N-OFC導体ケーブルに交換。本当は4.4㎜のバランスケーブルに変えたいところなのですがN30用が見当たりませんでした。2.2㎜のバランスはあるのですが・・・残念です。
Comply(コンプライ) イヤーピース Tsx-500 ブラック Mサイズ 5ペア
やっぱりコンプライでなくっちゃ!Nシリーズはイヤーチップの選択によっては音がスカスカになるので要チェックです。

AKG CN120-3.5 イヤホンケーブル 3.5mm
高純度6N-OFC導体/ステレオミニ ダークグレー AC-3.5M-MMCX-1.2M
耳掛けで装着するのですが、すぐ耳からケーブルが外れます。外れないように何か工夫が必要です。あと、基本的な音質は確実にUPしますが、驚くほど良くなるわけでは無いと感じました(コスパは悪いと思う。これだったら8000円くらいで良いのでは?)。ただ、純正ケーブルのリモコンが邪魔だったのでこのケーブルで満足です。

完成です。
N40は手持ちの一般汎用の4.4㎜バランスケーブルやSONY製の4.4㎜バランスケーブルは難なく接続できます。しかし、N30には全く接続できませんでした。N30何故こんな仕様にしたのか残念です(SONYに対する嫌がらせでしょうか?)。もうすぐ、販売されるというAKG N40の上位機種のN5005がどちらのコネクタタイプになるのか?今から心配でなりません!N5005買う気満々なので!N40と同じコネクタでありますように!
(-"人"-)パンパン


聴いてみる
エージングは200時間程度しています。

N30は中高音域寄りに感じられとても良い音がします。しかし、N40の様な深く沈み込む切れのいい低音や煌めき抜けるような高音は出ていないように感じられました。全体的に輪郭に切れがなく、N40とは似て非なる物に感じられました。また、N30はNW-WN1Zに役不足に感じられました。
【NW-WN1Zとの現在のベストマッチ】
N40+SONYキンバ―ケーブル4.4㎜バランスケーブルでは、深く濃厚で切れのいい低音域、柔らかく鮮明でどこまでも抜けてゆく高音域。音の艶、空気感をも表現してくれます。



N30は非常にスピード感のある良い音を出します。明るく軽快な音で高音域もとても美しいです。低音域も良く出ていますが、もう一段階下の低音が出ると良いと感じました。全体的にNW-WN1Zよりもポップで明るいNW-ZX300との相性が良いと感じました。JVC HA-FW01の様な低音は出ていませんが中高音域の美しさと抜け感は流石AKGだと感じました。
NW-ZX300との現在のベストマッチ
JVC HA-FW01 + MUC-M12NB1(4.4㎜バランスケーブル)では、豊かで切れのいい低音から美しい高音まで聴かせてくれます。NW-ZX300との相性は大変良いです。
しかし、全体の解像度と音のバランスはN30の方がよく感じます。個人的には甲乙つけがたく、両方ベストマッチとしたいと思います。




DENON DA-300USB-Sは55mW/32ΩのアナログヘットホンアンプをもつDACです。フルデジタルアンプのWN1ZやZX300に比べると、とても深くシットリトして、そして力強さがあります。N30(周波数特性・感度・インピータンス)との相性も良くウォークマンシリーズには無い押しの強い良い音です。低音域から高音域までキッチリ鳴ります。
3.5㎜のアンバランス接続でもマダマダ行けると感じさせられます。

パソコンのプレイヤーソフトはSONYのMusic Center for PC を使っていますが、ASIOに対応しており音源をネイティブ再生できます(同じSONYのMediaGOでは使えなかった)また、PCM入力信号はCDの音声と同様にAdvanced AL32 Processingにより、オーバーサンプリング、ハイビット化されます。音質はクリアで解像度の高い音質です。最近はウォークマンばかりで音楽を聴いていましたが、久々にDENON DA-300USB-Sを聴いてみて「音が新鮮!」と感じました。もう古いDACなんですが、手放せないんですよねぇ~ :)


ハイレゾ音源を聴いてみた
二時間だけのバカンス [feat. 椎名林檎]
2016年9月頃の曲になりますが”二時間だけのバカンス [feat. 椎名林檎]”のハイレゾ音源を聴いてみました。歌詞については聴く人によって色々な思い入れがあるようですので、男性の私は触れないことにします。(笑


曲は宇多田さんらしく素晴らしく美しく、特にサビの部分が心地よく耳に残ります。個人的宇多田ベスト10に入ります。しかし、この曲で特に素晴らしかったのは林檎さんの声です。林檎さんの乾いたハスキーな色気のある抜けの良い声は大好きです。ただ、YouTubeはよくチェックしますが楽曲があまり好みではなく林檎さんのCDは一枚も持っていません。でも、何時か林檎さんが「美しいEDM系やB&B系の楽曲を唄うと良いのになぁ~」と思っていました。でそんな時に、この”二時間だけのバカンス”が発売されました!

ハスキーな色気のある抜けの良い声にさらに艶っぽさも乗っかって、特に所々の歌詞の語尾で、微かに割れる様な声を出します。ここが最高に良い!宇多田さんでは絶対に出せない声です。(これは声と言うか、もう個性のある楽器の域です)ソロの聴きごたえも最高です。そして、一見相反する声の二人ですが、宇多田さんと二人で歌うときは全く違和感なく最高のコーラスやハモリになります。二人とも歌が上手いです。何時か宇多田プロデュースで林檎さんのアルバムが出れば良いのにと思っています。

で、何故ここで林檎さんの声を持ち出したかと言うと、林檎さんのハスキーな声が、力強く、美しく、エロく、一番カッコよかったからです。N30が林檎さんの声を最も綺麗に表現していると感じました。

二時間だけのバカンス [feat. 椎名林檎] 
宇多田ヒカル 収録アルバム: Fantôme




HUAWEI Mate 10 Proはハイレゾ音源に対応した、3.mmのオーディオコネクタを持たないスマートフォンです。N30で音楽を聴くにはTypeCと3.5㎜の変換ケーブルを利用します。今回は、Mate 10 Proに標準添付しているケーブルではなく、依然買っていた変換ケーブルを使ってみました。
Tcbry Type-C 3.5mmイヤホン端子 音声変換ケーブル
タイプC to 3.5mm 変換アダプター (ホワイト)

ウォークマンやちゃんとしたDACで聴いていると、Mate 10 Proで聴く音は「解像度も音圧も低く、ただ鳴っているだけ」そんな感動のない音です。まあ、低価格のイヤホンよりは音が良いと思いますが、スマートフォンで聴くことが前提であれば、AKG N30はコストパフォーマンスが大変悪いと感じました。もっと、安いイヤホンで十分と感じます。また、スマートフォンで聴くなら、ワイヤレスイヤホンのWI-1000Xがお勧めでしょう。




「XHA-9000」はAstell&KernとSoftBankの共同開発による商品で、aptX HD対応ワイヤレスヘッドホンアンプです。Bluetooth4.1規格、コーデックは(SBC、aptXR、aptX HD、AAC)に対応しています。本体にマイクも内蔵されているのでヘットセットとしても使えます。 今回接続する「Mate10Pro」はコーデックとしてaptX HDとLDACに対応しています。「N30」「XHA-9000」「Mate10Pro」の組み合わせでどんな音がするのでしょうか?上記の直付けが全く期待外れだったので楽しみです!
Astell&Kern for SoftBank SELECTION XHA-9000
「XHA-9000」の特徴の一つとして、φ3.5㎜のアンバランス接続に加え、φ2.5㎜によるバランス接続にも対応しています。どうせならバランス接続でテストをしたいと思い、AKG純正のφ2.5㎜のバランスケーブル(AC-2.5M4-MMCX-1.2M)を購入しました

AKG CN120-2.5 イヤホンケーブル 2.5mm
4極/高純度6N-OFC導体/バランス ダークグレー AC-2.5M4-MMCX-1.2M

Mate10Proに接続
上記のDENON DA-300USB-Sまでのクリア感はありませんが、力強さと低音~高音までの切れの良さ、音場の程よい広がりとノイズの無さは無線とは思えません。また、スマホ直付けとは雲泥の差で、十分に音楽を堪能できる音質であることをお伝えしておきます。
「XHA-9000」は2018/03現在、1万数千円と少し高めですが、スマホとの接続と言うことが前提であれば”あり”だと感じます。特にTypeCコネクタしか持たないスマホにはおすすめです。

また、同じワイヤレスイヤホンのWI-1000Xと比べた場合、アンプの違いはありますが無線とは思えない甲乙つけがたい良い音質です。差別化するなら、WI-1000Xは強力なノイズキャンセリング機能があるけれどもイヤホンが交換できない。XHA-9000は色々なイヤホンを接続でき、気分に合わせて音を楽しめるけれどもノイズキャンセリング機能はありません。









■イヤーピース(イヤーチップ)の変更
素晴らしい遮音性と吠える低音、長年にわたって利用してきたコンプライのイヤピースですが、近年耳にかゆみを覚えるようになり変更することにしました。刺激の少ないシリコンを使った「スピンフィットCP100+」と言う商品です。音質についても中々のものです。






【総括】
N30は感度が低くインピータンスが高目なので、程よいプレイヤー環境でボリュームをグイっと上げて良い音を出すように感じました。抜けの良い高音、力強い中低音、音場は広くありませんが狭く感じることも無く、ボーカルもキチンと中央で一歩前に出てくるようです。解像度も高く特にギターの響きはとても美しいのです。リスニングとして十分に楽しめるイヤホンだと思います。ただ、少し高音域のクリア感が乏しく感じました。

N40とN30の違いの一つとして中音域の出方が違う気がしました。N40は中音域をBAが受け持っていたようですが、N30はどちらかと言うとダイナミックのほうが中音域を受け持っているように感じました。N30もN40も同じドライバーを使っていながら、音の特性が違うのは大変興味深かったです。N40はプレイヤーやリケーブルなどの環境によって音が激変します。裏を返すとあまり良くない環境では良い音がしないのです。しかし、環境がガッチリ合えばビックリするほど良い音がします。逆にN30は程い環境でも良い音を鳴らしてくれる、とても使いやすいイヤホンだと感じました。特に低音~中音の押し出しが強く、迫力ではN40の上を行きます。3万円前後の予算でイヤホンをお探しの方は、是非検討の一つに入れては如何でしょうか!?

しかし、残念なのはやはり4.4㎜のバランスケーブルです。AKGさん純正の4.4㎜バランスケーブル出してくれないですかね!
:)

低音と高音が美しいN40、中音域を中心に低音・高音にパンチがあるN30、この二つは、音の出方がある意味全く逆とも言えます。同じようなハードウエアなのに、ここまで違う音に出来るとは・・・しかも、どちらも魅力的。AKGの技術の凄さを感じます。
実は今、「N30とN40を足して練り込んだ音なんだろうなぁ~!」そんなことを思いながらN5005を聴いてます。